BayCraftキットシリーズのコンセプトの補足の補足
先だって、BayCraftキットシリーズのコンセプトの補足として、DMP8623ATXの心臓部であるチップベンダー、シグマデザインズについてメインサイトでご紹介しました。
スペースの都合で語り尽くせなかった部分を、こちらのブログに掲載することにしました。
一部内容が重複しておりますので、予めご了承下さい。
シグマデザインズ(Sigma Designs, Inc.、本社アメリカカリフォルニア州;以下シグマ)は、まだMPEGが現在のように実用化されていない十数年前にいち早くMPEGに注目し、当時の非力なパソコンでフルスクリーン、フルモーションでの動画再生を実現する拡張ボードを初めて商品化、その後現在に至るまでデジタル動画フォーマットのデコーダチップを手がけてきた会社です。
古くからのパソコンユーザの中には、PC用のMPEGデコーダボード「REALmagic(最初はReelmagicでしたが)」というシリーズ名を記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。当時はPC-MPEGのデファクトスタンダードとして動画をアプリケーションで操作する標準APIとして採用されたりしました。
しかし、その後パソコンのCPUパワーが飛躍的に高くなり、ソフトウェア処理でも何らストレスなく動画処理ができるようになると、シグマのデコーダチップの活躍の場所はスタンドアローンでの再生からネットワーク経由、主に業務用ストリーミング市場とワンチップでの低価格を競うDVDプレイヤーなどに移行していきます。
つまり、コンシューマー向け製品メーカーからチップメーカー、すなわちデジタル製品の部品メーカーへと転換を図り、一般コンシューマーにはあまり名前を知られない会社となっていきました。シグマ冬の時代といっても良いかもしれません。
この頃はソフトウェアデコード対ハードウェアデコードのどちらが優位かという議論の中で、圧倒的にソフトウェアデコードを支持する人が多かった時代でもありました。そうした中にあっても、シグマのチップは単純なデコードをするチップと異なり、早くからネットワークに対応してストリーミング再生のノウハウを蓄積し、次々に現れるフォーマットなど多様化する環境にも柔軟に対応することができました。また高機能ワンチップ化を進めていたことで、シグマはデジタルTVや次世代DVD、HD対応のIP-STB(セットトップボックス)など、最近の急速に高画質、高機能、ネットワーク化した製品に最適なソリューションを提供する会社になりました。
今やメディアプロセッサのリーディングカンパニーとして、次世代動画フォーマット向けに862×シリーズや863×シリーズをタイムリーにリリースしています。実際、これらが組み込まれたデジタル家電製品の分野ではパソコンで言うインテルと同じような立場なんですが・・・
もちろん、シグマが自社のブランディングに力を入れていれば、ここでこんな説明をする必要もまったくないのですけれど。
というわけで、シグマ製品の販売先はハードメーカーやコンピュータメーカーなどに限られており、データシートも一般に手に入らないため、なかなかスペックなどがわかりにくい状況にあります。
そこで、ここではざっとシグマのチップについてサマリします。
シグマの主力チップの現行ラインナップは、ざっと以下のようになります。
EM851×シリーズ
EM8510/EM8511 MPU:ARM MPEG4/DivXなどのデコードに対応、同系統の8550/8551などを低消費電力にした後継
EM862×Lシリーズ(シリーズ内ピンコンパチブル)
EM8620L/EM8621L MPU:ARM166Mhz WMV9/9HD、WMAproのデコードに対応
EM8622L/EM8623L MPU:ARM200Mhz H.264のデコードに対応、ハードウェアJPEGデコーダ搭載
EM8624L/EM8625L イーサネットコントローラを内蔵
SMP863×シリーズ
SMP8634L/SMP8635L MPU:MIPS300Mhz H.264/WMV9HD対応ハードウェアデコーダを2個搭載、イーサネットコントローラなど周辺チップを内蔵、DRM処理用の専用MPU(MIPS200Mhz)を内蔵、メモリバンクを2バンク(1バンクはデコーダ専用)に拡張
各チップで2種類の型番が存在するのは、末尾の数字が偶数のものはマクロビジョン有、末尾の数字が奇数のものはマクロビジョン無となっているためです。
これはチップとしてはまったく同一なのですが、たとえば市販のDVDなどマクロビジョンという著作権保護の仕組みが施されているコンテンツを再生する製品では偶数型番を使用しなければいけないというライセンス上の違いとなっています。
シリーズ共通の特徴としては、MPEG1/2/4のハードウェアデコード、圧縮/非圧縮音声・静止画デコード(ファームウェアによりほとんどのフォーマットに対応可能)を比較的小容量のメモリ(SD画質で64MB、HD画質で128MB)で動作し、イーサネット、IDE、USB、PICなどパソコンと互換性のあるバスアーキテクチャを持ち、BGAパッケージでファンレスでの連続使用が可能など、デジタルメディアプレイヤー、IP-STBなどのための専用プロセッサということができます。
シグマのデコーダチップをわかりやすく言えば、ARMやMIPSなどのMPUと、各種動画フォーマットに対応したハードウェアデコーダをひとつのパッケージにまとめたものとなります。そうであれば、ARMやMIPSのプログラミングができる人には、比較的簡単にシグマチップを使って開発ができそうな気がしますが(筆者も以前はそう考えていました)これがなかなか難しいようです。
実際、内蔵のMPUは実に多くの仕事を処理しています。
ハードウェアデコーダのコントロール、周辺I/Oのコントロール、さらに動画、静止画の再生プレーヤなどのアプリケーション、さらにTV用のGUI代わりのブラウザの動作、処理などなど・・・。
この結果、MPUやメインメモリの余力が少なくなっていることや、ハードウェアデコーダそのもののプログラミングの難しさが影響しているようです。
ともかく、シグマのラインナップとしては、EM8510シリーズでMPU:ARMのアーキテクチャを確立してMPEG4系のデコードに対応、それに続くEM862×シリーズで、内蔵MPUのパフォーマンスをアップしながらHD映像のデコードにまでパフォーマンスアップを図ってきたという格好になります。
さらにSMP863×シリーズでは、デジタルコンテンツを扱う上で避けては通れないDRM(著作権管理)への対応やHDコンテンツ主流時代に備えて、大幅なパフォーマンスアップが可能なMIPSにMPUを変更、HDコンテンツデコードのための専用メモリバンクの追加など、大幅なアーキテクチャの変更を行っています。シリーズ名もセキュアなメディアプロセッサとして『SMP』と変更しています。
シグマとしては今後、SMP8634/35をベースにMPUのクロックアップしてパフォーマンスアップを図った製品と、DRMな環境や既にDRMが確立されているプラットフォームなどに向けたローコスト版へとラインナップ展開をしていくと予想されます。
デジタルコンテンツを扱う上では絶対に避けて通れないネイティブでのDRMへの対応は、チップメーカーとしては必然ですが、ユーザとしてみた場合には非常に遊びの少ない窮屈さを感じさせるのも確かです。
地上波デジタル放送とDVDレコーダにおけるコピーワンスの問題と同じように、制約の少ないパソコンの規格と制約の多いTV・ビデオの規格の中で、今回発売のDMP8623ATXはできうる限り制約の少ないことを目指して設計しました。
DMP8623ATXではその名が表すように、EM8623Lに128MBのメモリを搭載しHDコンテンツのデコードにまで対応させました。また、一般的なネットワークメディアプレイヤーなどでは搭載されないPCIコネクタをはじめ、コード入力で基板操作ができるシリアルポート、I2Sデジタル音声出力など、シグマチップのスペックをフルに使ってユーザに遊んでもらえる1台を目指して企画した製品になります。
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- 日時:12:00

comments
近年、デジタルアンプの自作など往年のオーディオファン
世代の回帰現象かわかりませんがささやかな流行の様相が
見られます。かく言う小生も市販の大手メーカー製品では
満たされないものを求めて自作デジタルアンプにはまり
若松通商のキットや、ラステームの製品など調べるうちに
ここにたどりつきました。
いろんな制約のため大手が出せない市場を埋めるように
安価なデジタルアンプ/キットは結構売れてようです。
御社製品が単純なアンプキットではなくさらに高機能AV
機器まで自作可能なものでとても興味深いです。
誰もが不満なここの市場を”自作”ということで埋めるのは
ひとつの知恵でしょうね。
ただ法人顧客は別として御社の製品はユーザーからみて、
改造・変更の余地が少ない、あるい改造したりする楽しみの点
で使い難い面、自作派に訴求し難い面、があるように
見受けられます。(自作派主流の安価シンプル路線と違い
御社路線が豪華高機能&高価というところも勿論ありますが)
まずはタカチ等市販の自作用ケース、他kitのケース、中古機器
のケース利用等、自作派がよく用いる手法での組み込みを
しやすくしていただければますますユーザーが広がるのでは
(まぁ私が欲しいってことですけど)と以下のような釈迦に説法
を愚考した次第です。
・自作派の楽しみはオリジナル改造にありますのでその余地
をもっと多くしていただけないでしょうか。
例えばこんなときもっと簡単にできないでしょうか
>DMP8623ATXを市販ケースの小型据え置き型に入れ
HDD内臓メディアプレーヤーをもっと簡単につくりたい
>自作デジタルアンプのプリ部にSC501を使いたい
>自作アンプにマイクミキサー機能を加えたい
>御社DAIを使って市販アンプキットの光入力を増やしたい
>自作デジタルアンプにUSB I/Fを追加してDA変換無しの
ままデジタルプリ部に入れたい
・そのためには
○UI部品/入出力部品の換装やケース上の配置・変更が
容易にできるよう基板固着しないほうがありがたい
○内部でデジタルベースで組み合わせ可能なコンポーネントに
分割にする(例えばSC501をRCA出力でなくデジタルI/Fで
自作デジタルアンプのプリ部として組み入れたい。デジタル
でパワー部に接続したい等)
○据え置き用にPCI IFを省略したDMP8623ATX、電源、
ケースのオールインセット売りがあれば
○購入前でも検討・改造の指針となる技術資料の拡充
などがあればいいなと思います。
ともあれ以下の予定とても楽しみです。
アナログメータキット
リモコン対応電子ボリュームセレクターキット
スイッチパネルキット
TOSHIF
PS:花田さん、ご活躍の御様子何よりです。
昔SJで一緒の部署でした福田です。
よろしくお伝えください。
TOSHIF様
貴重なご意見をありがとうございます。
ご指摘の改造の余地拡大については、大いに参考にさせていただきたいと考えております。
実際に入出力のコネクタ類は意外にコストが高いばかりでなく、入手性も良くありません。
オーディオ機器に比較してAV機器はコネクタの数、種類が多いこともあり、仰るとおり市販ケースへの組込みは難しくなりがちです。
これもHDMI規格により大幅に入出力ポートの削減の可能性が見え始めています。
ここで今後の新製品の予定をすこしだけ。
1.5インチベイケース 最終モックアップの調整中です。もうしばらくお待ちください。
2.8chフルデジタルアンプ PS3などのデジタルサラウンド出力に対応するフルデジタルアンプ。
3.DMP8635X フルHD対応、HDMI装備のデジタルメディアプレイヤーボード。
また、当初発表のキット類もリリース時期が遅れており申し訳ございませんが、企画進行中です。
もうしばらくお待ちください。
P.S.弊社代表花田よりご注文をよろしく(笑)とのことです。冗談はさておき、お気軽に連絡でもいただければとのことでした。
ベイクラフトともどもよろしくお願いいたします。