DMP8623ATXファームウェアについて
前回、チップベンダー、シグマデザインズについて少々長めにご紹介しました。
今回はDMP8623ATXのファームウェアについて、述べたいと思います。
DMP8623ATXはsyabas社のDMA用ファームウェアの拡張版を最初にフラッシュROMに焼きこんで出荷しています。
syabas社はシグマチップ専業のファームウェア開発会社として成長してきた企業です。業界では「サイアバス」と呼ばれることが多いのですが、syabasの社員によると「シャバス」と発音するのが正しいようです。
syabasは851×系、862×系の主にデジタルメディアプレイヤー(ネットワークメディアプレイヤー)やDMA(デジタルメディアアダプター)用ファームウェアではもっともポピュラーなファームウェアです。基本的な仕様はシグマEM851×シリーズと変わってはおらず、syabasオリジナルのリアルタイムOSとブラウザという組み合わせで機能拡張されています。
DMA用ファームウェアの主な機能をひとことで言えば、USB、IDEなどの基板I/O、イーサネットあるいはインターネット上のストレージ上にあるデジタルファイルを再生できるようにすることです。ファイルの指定方法としてはブラウザをGUIとしているのでURLもしくはファイルパスでファイルの所在を指示するという極めてシンプルな方法を採っています。毎回ファイルパスやURLをリモコンで入力するのは面倒ですから、パソコン用のサーバアプリケーションや、繋がっているストレージ類を自動認識してファイル一覧を表示するメニュー機能も搭載しています。
今回の発売に当たってはsyabas社にDMP8623ATXのコンセプトを説明し、DMAファームにいくつかの機能拡張を施しました。
ひとつは別途使い方ガイドでご紹介していますがシリアルポートからのコマンド入力に対応させたことです。これにより、PICなどのマイコンやパソコンプログラムによるDMP8623ATXのコントロールができます。 弊社では、5インチベイキットとしてマイコン搭載のスイッチパネルを企画中です。
ふたつ目は非公式になってしまいますがIDEでの光学ドライブ接続です。パソコンであれば動作しないドライブがおかしいと言えますが、DMP8623ATXの場合は完全な互換性を明記できないため非公式とせざるを得ません。
ここで残念なのは、シグマのIDEは1台までのドライブしか接続できないことです。そのため、たとえばDVDドライブとHDDの両方をつなぎたい時は、IDEにDVDドライブを、USBにHDDを接続するといった工夫をする必要があります。
みっつ目はUSBメモリを使ってのファームウェアの更新です。近日無償バージョンアップを予定しているファームウェアでは、WindowsMedia CONNECTに対応を予定しています。これにより、ネットワーク上のWindowsパソコンのドライブを自動認識し、ドライブ内のWindows Mediaファイル(WMA/WMV)でDRMが施されたファイルも再生することが可能になります。
また、別売を予定しているnetTVファームウェアでは、GoogleビデオやGyaOなど、WindowsDRMベースで配信している動画サービスを視聴することができるようになる予定です。
以上が、BayCraftキットシリーズとしてDMP8623ATXを企画するに当たり、こだわった内容です。
最後にリリースできるか未定ですが、あくまで検討しているという段階のお話をご紹介しましょう。
シグマのチップのようなメディアプロセッサには、たいていメーカーからSDKと呼ばれるメーカーなどにしか販売されない開発キットがあります。シグマの場合、ターゲットチップを載せたフルフィーチャーのリファレンスボード、メーカーサンプルソースやドライバ類、各種データシートやアプリケーション回路などのドキュメント類をまとめたものになります。当然キットを購入しないとチップを使った製品を作ることも、ファームウェア、アプリケーションを開発することもできません。
ソフトウェア開発者の方からよく言われるのは、「ARMの開発なら自信があるのだが・・・」「86××用のμCLinuxをFROMに入れておいてくれれば・・・」というお言葉です。前者には「おそらくARMの開発がいくらお得意でもシグマのデコーダ周りの開発は至難ですよ」と返せるのですが、後者には「製品として十分なパフォーマンスが・・・」ということくらいしかお話できません。
実はシグマから提供されるSDKではOSとしてμCLinuxがバンドルされています。もちろん、μCLinuxを使って開発されたファームウェアもあります。しかし、μCLinux上で動く軽量で十分な機能を持ったブラウザがないことや、μCLinux自体を動作させるためにMPUパフォーマンスを食われてしまって余力が少ないといった課題があります。そのため用途は、GUIなどを必要としないような製品や、シグマチップは高機能デコーダと割り切って、高機能ブラウザを動かすためのx86系プロセッサなどのMPUをもうひとつ載せるような製品に限られてしまいます。
これまで述べたように、syabasのDMAファームは非常に便利なのですが、一方で問題もあります。TV用GUI専用と割り切って作られているため、一般のWebサイトがインターネットブラウジングできちんと表示される可能性はきわめて低いということ、EM8622/8623がチップとしてはH.264に対応しているにも関わらず、DMAファームとしては対応しないという残念な状況になっていることです。
そこで弊社としては、DMP8623ATXをリファレンス基板としてμCLinux上でのプログラミングやバンドルプレイヤーでのH.264の再生を楽しんでいただけるBayCraft版SDKのようなオプション製品ができないものか検討しています。
こうした取り組みも、自作キットであるBayCraftキットシリーズならではのものですので、是非ご期待下さい。
- 投稿者:
- 日時:12:00

comments
こんにちは、はじめまして。
SigmaのuCLinux用SDK、armのToolChain、uClinux一式も提供してもらえるなら、MovieCowboyやAVLSのような面白いメディアプレイヤーを作ってみたいと思います。
楽しみにしています。