DA501の基礎知識
前回、ピュアオーディオについての基礎知識を少々長めに述べさせて頂きました。
そこでは、デジタルオーディオが主流となっている現在では、オーディオはアナログ→デジタル→アナログという状態の変化を経ており、後者のデジタル→アナログという変化において、DACがその中心的な役割を担っていることをご説明しました。
ここで補足しますと、オーディオの再生には、媒体からデジタル信号を取り出すドライブ部、デジタル信号をアナログに変換するDAC、アナログ信号を増幅させるアンプ、アナログ信号を空気の振動に変えて私たちの耳に聞こえるようにするスピーカーという基本的な流れがあるわけです。
ここまで読んだ方の中には、DACなんて機器を聞いたことがない、ミニコンポやステレオセットを持っていたけれどDACなんて機器は無かった、という方もいらっしゃるでしょう。
それも無理はありません。DACは通常、CDプレーヤーの中に回路として内蔵されており、単独の機器としては、わざわざ単体DACと呼ばれる程の高額なものばかりだからです。
パソコンを自作したことのある方なら、マザーボード上のオーディオ出力部やサウンドカード上にDACの回路を見つけられるかもしれません。
つまり、機器として独立しているかどうかは別にしても、上記の基本的な流れはオーディオ再生の過程では必ず必要となります。
では、現在ほとんどのオーディオ再生機で当たり前のように内蔵されているDACを、機器として独立させる利点は何でしょうか。
内蔵されているDAC回路はプレーヤーごと替えなければ取り替えることはできませんが、独立していれば単体DACを替えるだけで音質が変わることが期待でき、その組み合わせをいくつも試してみることができます。
それだけ、DACがデジタル→アナログというオーディオ信号を大きく変化させる役割を担っており、音質に大きな影響を与えると考えられているからです。
ちなみに単体DACと組み合わされることを前提に、ドライブ部のみを吟味しオーディオCDのデジタル出力に特化した機器を「CDトランスポート」と呼びます。
最近では、パソコンをオーディオ用途に特化し、オーディオデータをハードディスクに保存しデジタル出力する「HDDトランスポート」とも呼ばれる使い方も紹介されるようになってきましたが、そうした場面でも単体DACは重要な組み合わせ相手となるでしょう。
DA501は、この単体DACと呼ばれるものを自作できる組立キットです。
最大の特徴はASRC機能を搭載していることです。
ASRC(非同期サンプリングレートコンバータ)は、デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を変換する機能です。
オーディオCDであればサンプル周波数は44.1kHzですが、これを192kHzまで上げることができます。
前回、ピュアオーディオの命題は元の音源を忠実に再現することと説明しました。
再生段階で言えば、忠実に再現することを阻害する様々なノイズの要因を取り除いていくことがピュアオーディオで求められる要素です。
デジタル信号といっても、ドライブで媒体のデータを取り出し、ケーブルやコネクタを通ってくる間に、乱れが生じます。
ASRC機能は、サンプリング周波数を高めることによって、そうしたアナログ変換する前のデジタルオーディオ信号の乱れを安定させることが期待されるというものです。
最近ではPLAYSTATION 3でもオーディオCDのアップサンプリング機能ができるようになっているそうですが、サンプリング周波数を2倍、4倍と整数倍にできるもののようです。
ASRC機能の場合は、上記にあるように単純に整数倍でないため「非同期」となっています。
DA501は、このASRC部に加え、その前段として外部からデジタル信号を取り込むDAI部、デジタル信号をアナログ信号に変換するDAC部、という主に3つのブロックから構成されています。
これらのブロックにはそれぞれの役割を持ったチップが搭載されています。
DA501では、それぞれ<DAI部 TI社DIR9001><ASRC部 TI社SRC4192><DAC部 TI社PCM1794A>が採用されています。
パソコンでも、CPUやチップセット、サウンドやLAN、RAIDといった機能を持ったチップをマザーボードに見つけ、それぞれのブランド、チップ名でスペックを推し量ることがあると思います。
ピュアオーディオの世界でも同じように、採用されているチップでスペックを推し量ることができます。
上記の各チップの名前をまったく聞いたことのない方でも、インターネットで検索していただければ、どういった評価を得ているか、どのくらいの価格の製品に採用されているか、お分かりになるかと思います。
さらにDA501では、それぞれのチップがソケットで基板に取り付けるようになっており、手軽に取り替えられるようになっています。
もし、上記のチップが気に入らないときは、オプションのソケットに取り替えて音質を確かめながら、組み合わせを楽しむことができます。
現在、BayCraftでは次のチップを搭載したソケットをオプションとして準備中です。
<DAI部 Cirrus Logic社CS8416><ASRC部 AnalogDevices社AD1896><DAC部 AnalogDevices社AD1853>
とはいえ、搭載されているチップだけで性能が決まるわけではありません。
そのチップの性能を生かす回路設計も重要になります。
DA501では、ノイズを極力排除する工夫として、デジタル部とアナログ部では回路を完全に分離させています。
分離させることで、お互いの回路で発生するノイズが信号に影響することを防いでいるのです。
ピュアオーディオの世界では、何がノイズの原因となるのか、それを防ぐにはどうしたらよいのか、と言うことが大きな命題となります。
それにより、元々媒体に含まれた音楽性というものを忠実に再現することにつながると考えるのです。
さて、このノイズに関して最も大事とされる機器のひとつが電源になります。
次回は5インチベイキットシリーズ「PW501」を中心に電源についてご案内しましょう。
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